Evernoteをあきらめる

投稿者: | 2010年5月3日

いよいよ日本語版もベータ段階に入ったというタイミングで書くのもなんだか間が悪いけれど、個人的には当面 Evernote を使うのをあきらめた。
先に言っておくと、Evernote というサービスそのものに対する批評・批判ではなく、単に自分のライフスタイルと相性が悪かった、というだけの話だと思うので Evernote 大好きな人々はこの記事はフッ…と鼻で笑って無視しましょう。

一番の理由は「見ないじゃん」ということだった。
これは実は delicious も同じ状態に陥っているのだけれど、一旦保存したものをあとで見直したり、活用するために検索したりしたことがほとんど無い。極端な場合、全く同じ情報を 毎回Googleで検索し直していたりする、新たな情報が欲しいわけではなく単に特定の目的ページのURLを覚えていないというだけの理由で。
インターネット上の情報は消えてしまう可能性が常にある。だから自分にとって特別に重要だと思われるものはそのコピーを自分自身で保存しておくべきで、そ いういうことに Evernote は手軽で便利。しかし、結局見ない。というか保存したこと自体を忘れる。保存してあるのかどうか Evernote に検索をかけるのが面倒。
そもそも常時目の前に無いから調べ物をする瞬間にはその存在自体を忘れてしまっているという、根本的な問題さえある。
ローカルPC用の Evernote アプリをインストールしていないからますますそうなるのだけれど、WebサービスとよくできたWebクリップ用のブックマークレットがあるのに、さらに ローカルにアプリを入れるという発想にはどうしても馴染めない。何かのWebサービスでブックマークレットひとつで済むにもかかわらずFirefox拡張 が用意されていたりすると眉をひそめるような人間なのでちょっと極端かもしれないが、なんとも冗長という感じがして Evernote のローカルアプリを使う気になれない。
タグ付けができて、検索ができて、さらに画像の中の文字列まで検索出来る。
うん確かに便利。
でもまあ、画像の中の文字の認識は別として、それ以外は Evernote ならではというほどのものではない。

個人的には、実はかなり前から半ば無意識に Evernote が担うべき役割の代わりをさせていたものがすでにあった。Gmail。
日常的に常に見えるところに置いてあって、一日に何度も利用することが習慣化しているので、その存在を忘れるということはまずない。
テキスト情報であれば検索が非常に速く、優秀。
その上、以前からあとで読むを使っているので、気になったものは一番最初の段階としては必ずそのページ全体がテキスト化されたメールという形でGmailに蓄積されている。
自分宛のメモ専用として区別できるように 自分のアドレス + memo@gmail.com というアドレスを昔から使い分けているので、情報クリップではなく自分で書いたメモも他のメールと区別できる。
そして最近ラベルを階層化できるようになってしまったので、あとはちゃんとラベルを付けさえすれば、クリップしたりメモしたりして手軽に一箇所に放り込み、タグで分類して、検索できる。あら…自分には実は Evernote 要らないんだ、という話。
諸々のサービスが言うような「メールのように」ではなくメール操作そのもので事実上完結している潔さが、面倒臭がりかつ物忘れが激しい自分にとって貴重。
紙情報をスキャンしたものをさらに活用するということが増えてくればGmailだけではまかない切れなくなってくる可能性はあるが、今のところ画像や PDFにした書類を閲覧する、というだけであればGmailに投げておいてGoogleドキュメントで見る、というだけで十分だしなぁ。

というわけで、ひとまず当面は(日本ではこれから盛り上がるかもしれないのに)自分に Evernote を使わせるのは諦めました