オライリーの本の表紙の価値

投稿者: | 2012年2月26日

その他にも歴史が長くて定番化しているものはやはり出てくる。
「Perl」と「ラクダ」の検索で『プログラミングPerl』、「正規表現」と「フクロウ」で『詳説 正規表現』、「Java」と「トラ」で『Javaクイックリファレンス』など。
その他少しマイナーのものでもGoogleブックスに入っていると、オライリーの本は(多分全部)表紙を解説したページが含まれているので、検索にかかってくることがよくある。
本の正確な題名を覚えておくのは難しいけれど、技術書でかつ特定の動物の表紙、という記憶のさせ方は戦略としてけっこう優れていると思う。自分で書店で探すにも店員に尋ねるにも有効だけれど、ネットの検索が発達してますます利用価値が上がったかもしれない。

インターネット上に出版物のデータを露出させることが売上向上につながるのかどうかという点については、実は明確にデータで証明したものがない。CMと同じで、体感的には確かに知名度が上がったり、問い合わせが増えたりするのだけれど、どういうことをしたら人々の行動にどういう影響をどのくらい与えたのか、ということを明確に示すのはけっこう難しい。

その点オライリーの本の表紙の価値は、最初に述べたように、非常に分かりやすい。
単に表紙が印象的だ、というだけでなく、表紙そのものに言及したページがその本の中にあるというところがポイント。
本の大部分が紙でのみ出版され、大部分が書店で売られていた頃に、出版物に必ず表紙の動物を解説した一頁が入っていることの価値がどのくらいあったのか、それこそ曖昧だ。
ところがその情報がインターネット上にテキスト情報として記録されて検索対象になるようになった今、価値はびっくりするほど高くなったし、何の役に立っているのか明確に述べられるようになった。

正直なところO’Reillyの出版物も非常に多くなり、解説を読まないとどんな動物なのか分からないし読んでもマイナーすぎて記憶しておけないというものも増えたので、この戦略が万能だと思うわけではない。
しかし、インターネット上にデータを露出させるにあたって、やみくもにドサッと放り出しておいて「効果あるんですかねぇ、ホントに」と、あたかも自分は何も考えずに流行に迎合する人間ではないというポーズを取ってみてもしょうがない。
出版界にはその辺をちゃんと考えずに、やたらとあらゆる方面からデータを求められるようになって手間が増える一方なのに効果の程はさっぱり分からないのでうんざり、という思いにとらわれている人が、実はけっこういそうな気がしたので、今更取り上げるには有名すぎてためらわれたけれど、ちょっと書いてみた。