久しぶりに書店の夢を見た

投稿者: | 2014年7月12日

新しく店長として着任したというより、おそらく地域マネージャーか何かの立場としてとある店舗のテコ入れに赴いた、という感じだった。
一見、問題ははっきりしていた。
テナントとして入っているビルの諸々の規制が無意味に厳しくて、同じフロアに入っている飲食店なども店頭にメニューの立て看板さえ出せず、活気の演出がまるでできない。理由は分からないが(人が集まりすぎて通路にあふれるのを嫌ったのかもしれないが)書店である当の店舗も入り口から何メートル以内には平台を設置してはいけないというルールのために、よくある「入口付近の新刊平台」とか「催事平台」が全く機能しない。
このあたりですでに、そんなに嫌だったらそもそも小売業をテナントに入れるな、とビルのオーナーに言いたいところだが、規則にはさらに「テナント店舗で働くものは髭、長髪は禁止」などということまで書いてあったりする。べつにどうしても髭や長髪で働かないと困るということはないが、そんなことをビル側が決める必然性がまるでない。

夢の中で私は、真面目だが気弱そうな店長に、どうやって意味不明なテナント規則の改定を求めるか、また、改定が実現しない間、どうやって規制の隙間をかいくぐって小売業としての本来の力を出すか、などというアイディアの数々を語っている。
けれども夢の中でも薄々気づいている。
今は不当な規制で最低限の状態にさえなっていないから、そこさえなんとかすれば今より確実に売上は伸びる。そこまでは実はとても簡単だ。でも、それは書店業というものに対する根本的な施策では全然ない。

経験したから分かるが、ダメな店舗をマシな店舗にするのは実はわりに簡単だ。当たり前のことが当たり前にできるように整えればいいのだから、目標と意志をもって進めばある程度までは必ず実現できる。
でももっと売上を伸ばすとか、まったく新しい客層を開拓するとかということになると、恐ろしいほど難しい。それどころか単に一定水準を毎年維持していくことだけでも、難しい。
改革や立て直しという段階は分かりやすいし派手なので注目されたりもてはやされたりすることもあるけれど、あんなものは大したことはない。そのあとの毎日、毎月、毎年が、ほんとうに大変。

以前に「書店の夢を見た」というのも書いているけれど、そこでもやっぱり、書店経営は難しいという話になっている。そればっかりなのかねぇ、私の書店時代の思い出は。
楽しいことも沢山あったと思うんだけどね。