吉川英治『宮本武蔵』を読んだ

投稿者: | 2014年8月31日

うーん、困ったな。

いろいろそれなりに本を読んでいるけれど、この歳になるまで吉川英治の『宮本武蔵』は読んだことがなかった。
ふと思いついて読んでみた。
なんだかものすごく沢山の人を敵に回しそうだけれど、率直な感想を書いておく。

吉川英治の『宮本武蔵』って、武蔵を始め主要登場人物のほぼ全てがあちこちをうろつきながら若気の至りをしまくるという話なんだな。

これはねぇ(ごめん、このお話が好きな人達は怒らないでね)時代を現代に置き換えて喧嘩上等の悪ガキ達が、それなりに落ちつきかけるまでの話に書き換えても多分全然違和感がない。
又八と朱美が最後の頃子どもを得てよく分からないなりの地に足の着いた暮らしぶりを始めるあたりなんか、まさにそんな感じ。
逆に武蔵がむちゃくちゃ不器用で照れ屋で、結局最後までお通とは一緒にならないというのも、いかにもそういうキャラクターがそれ系の話ではいそうだなぁ、と思う。
あぁそうか、まあ、そういう意味では時代を越える力をもった、ある意味では名作なのか……そうかもしれない。
世間の評判から勝手に想像していたものと全く違ったので、ちょっとびっくりしただけなんだけどね。

著者吉川英治本人が公開後に寄せられた過分な賛辞にいささか戸惑う言葉を残しているが、謙遜などではなく、本音なんじゃないかと思う。
要は、小説としてオモシロイと思ってくれるのは嬉しいけど、人生を左右したとか色々言われてちょっと困惑してますってことを言っているわけだけれど、そりゃそうだよねぇ。

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