『中世の秋』:くり返し読む本

投稿者: | 2015年2月15日

習慣的にほとんど常に本を読んでいるけれど、比較的しばしば、昔読んだ本を読み返す方だと思う。
「愛読書」という言葉にはちょっと違和感があるが、多分くり返し読み返している本というのはそれに当たるんだろうし、なんらか自分の好みに合っていたり、影響を受けたりもしているんだろうと思う。

200372何度も何度も、思い出しては本棚から取り出して読む本の筆頭と言えば、なんと言ってもホイジンガの『中世の秋』。
歴史に絶対の真実はなく、ある視点からの捉え方というものしかないとするならば、かなり誠実で最後まで筋の通った著述だとも思う。
西洋中世の研究も当たり前だが日進月歩で、現在からすると批判的に指摘されるところも多々あるだろうと思うが、中世を肌で感じられるかのように描き出した書としては、今も比類するものはそうそうない。読んでいて楽しく、読み終わって深い満足感がある。

それにしてもさすがに手元の中公文庫版はボロボロになりつつあるので、そろそろ中央公論社には電子書籍化をしてもらいたいものだと思ったりする。
「新刊が電子書籍化されるのが遅い」とか「電子書籍なのに紙とほぼ同一価格」等などに不満をお持ちの方が多いような気がするが、個人的には「自分が長年に渡ってくり返し読み返している本はもう壊れそうだから早く電子書籍出して」ということが一番。

「くり返し読む本」は他にもあり、いずれそれらも書くつもりだけれど、最初はまあ、ちょっと気取ってまともなものにしてみた。
多分、だんだんまともではなくなり、え……この人はそんな本をくり返しくり返し読んでいるのか、ちょっとあの……、とか思われるようになる。
うん。