『デューン/砂の惑星』を褒めたかったのだが

投稿者: | 2010年10月9日
『デューン/砂の惑星』(フランク・ハーバート)シリーズを今更ながら読み返し始めたらなんだか結構楽しかったよ、と書こうと思ったら、早川書房のサイトには情報がすでに全くなかった。早川書房のサイトだけを見ると、かつてそういうものが世の中に存在していたことなど無いかのように、情報のかけらもない。
もちろんかつてそういうものが存在していたわけで、そのことはたとえばWikipediaのデューン (小説)や、Amazonのデューン砂の惑星 (1) (ハヤカワ文庫 SF (76)で分かるが…元々日本に翻訳書を送り出した早川書房に痕跡すら無くなっているのは、いささか哀しい。

一部は、そう、感情的な理由だけれど、この作品をあらためて褒める文章を書いてみようと思っていた気持ちが、一気に萎えた。
すでに自社に直接売上という形では利益が入ってこなくなっているものをカタログに載せないのは、それはそれで当たり前の行動かもしれない。でも本の場合、 特にフィクションの場合は、何十年経っても読み継がれている可能性が常にあるし、「時代の気分」によっては何十年も経た後にでも復刊される可能性さえあ る。
初代ウォークマンが当時どんなに大ヒットして一世を風靡し、それを懐かしく思う人がいたとしても、さすがにそのまま今使ってみようと思う人はほとんどいな いだろうけれど、一方本は(復刊などされずに物理的に古いままでさえ)そのまま読み返して楽しめるので、「もう製造販売していないのでカタログに載せませ ん」という判断では割り切れない。
少なくとも、読者の側は、割り切れない。

まあ、ただTwitterでひとこと「案外面白いよ」と書いてURLを添えたかっただけなのに、それが出来なかったので腹立ちまぎれにわざわざブログにTwitterより長く書いた、という話なんだけどね、つまるところ。
いずれ気をとりなおして、『デューン/砂の惑星』を褒める文をあらためて書くかも。