ぼくらは虚空に夜を視る (徳間デュアル文庫) 上遠野 浩平,中澤 一登 徳間書店 |
上遠野 浩平の作品の中でこの『ぼくらは虚空に夜を視る』に始まるいわゆるナイトウォッチ三部作が、とても好きだ。上遠野 浩平の作品の中でこのシリーズがとりわけ優れているとかそういうこととは関係なく、好きだ。
乙一の作品が、文学的に(たとえば後の世に長く残るというようなレベルで)すごいのかどうか微妙だけれど、感性が合っているのかいつ読んでもとても好きなのと似ている。
震災後、ツルゲーネフやカフカを読んでいたが、普通のものが読めるようになったかどうか確かめるためにあえて大きく変更して、ナイトウォッチを読み返してみた。
そして、楽しみながら読み返せたので、ひとり勝手に、安心した。
ややマイナーな文庫レーベルから出たのが災いしたのか重版がかかっていないようだけれど、古本が非常に安く手に入るので、このてのノベルが好きならおすすめ。数円というような値付けが多いけれど、作品の価値というか読んで得られる楽しみという事で言えば、数円ということはあり得ない不当に低い評価。
一巻目はちょっとぎくしゃくしていないでもないけれど、二巻目で伸びやかになり、三巻目でとうとう究極の「私が終われば世界が終わる」 を歌ってくれるので、とても楽しい。
わたしは虚夢を月に聴く (徳間デュアル文庫) 上遠野 浩平,中澤 一登 徳間書店 |
あなたは虚人と星に舞う (徳間デュアル文庫) 上遠野 浩平,中澤 一登 徳間書店 |