私は昔から、時計を見なくてもおおよそ今何時なのか分かる。
大体前後10分程度以内の差で分かるし、調子がいい時だと1分しか違わないとか、ずばり1分以内だったりすることもあり、それがものすごく珍しいという程でもない。つまり、かなりしばしば5分以内程度の差で時間を言い当てることが出来ている、ということ。
たとえば、外をしばらく歩いていていて、周囲に時計はなく、自分も携帯をもっていない、というような状況でも、分かる。
夜中にふっと目が覚めて、まだ外も暗くて、部屋に明かりも物音もなくても「多分今4時ちょっと過ぎだ」などと分かる。
そして、時計を確認すると、だいたい合っている。
ひどい方向音痴のくせに、時間は、分かる(苦笑)。
自分ではそれなりに便利な能力だと思ってはいるけれど、実は、なぜ分かるのかが、まったく分からない。
気になって自分自身を観察し始めてから、本当は自分は「いま何時なのか」という問に即答はしておらず、ちょっと考えてから答えを出している、ということに気付いた。
夜中にふっと目が覚めた時、反射的に「◯◯時頃かな?」という思いが浮かびかけるけれど、そのあとちょっとの間本当は何時なのかを考えている。そして、考えた後で出した答えが99.9%確実に正解に近い。
分からないのは、じゃあその時何を考え、何を参照して本当の時間を推測しているのか、ということだ。
自然の光が一切差し込まない無音室にでも閉じ込めて実験してもらわないと断言できないけれど、あまりにもいろいろな環境、いろいろな状況でも、ほぼ同じく時間を当てられるので、光の具合を無意識に確認して計算しているとかそういうことは無さそうに思う。
だとしたら、反射的に浮かぶ(間違った)答えを否定して正解に近い答えを引き出してきている仕組みは何なのだろう、というのが分からないわけだ。
自分を観察してみて別のことにも気付く。
たとえば仕事に集中してPCを前に何時間か経っていた、というような時には、時間あての正解率が低いか、いつものように「ちょっと考える」だけでは分からないので(その方が早いので)結局時計を見てしまったりする、ということにも気付いた。
だからひょっとすると、やっぱり自分の体内の何かを無意識に参照しているのかもしれない、と思ったりするが、その「何か」がなんなのかは分からない。
そんなものがあるのかどうか知らないが、絶対音感のように絶対時感の持ち主というのが存在するかもしれないが、少なくとも私はそうではない、というような感じがする。相対時感の能力が優れているけれど、絶対時感の持ち主ではないので、最初の直感で即答することは出来ない。
海外でやってみたことがないので、時差が大きくある国でやっても同じく時間が分かるのかとか、白夜の時期の北の国でやってもほぼ正しく働く能力なのかとか、考え始めると(自分のことなんだけれど)いろいろ実験したいことが思い浮かんで尽きない。