あまりにもいとおしそうに本を読む喜びを語る姿に感動したので、その女性なら気に入ってもらえそうな本を紹介する、というきわめて限定的な試み。
心地よく秘密めいたところ
ピーター・S・ビーグル
東京創元文庫
ビーグルは『最後のユニコーン』が非常に有名だけれど、私個人はこちらの作品の方が好きだ。
というより、数ヶ月前にこの歳になってから読み返してみたら、あまりにもしみじみと良かった。
そもそもあまり書評を書くのはうまくないのだけれど、この本に関しては下手な予備知識などないまま読み始めて、ゆっくり、しみじみ、でも驚嘆せざるを得ない不思議さを味わって欲しいと思うので、何も書かない。
本など読まなくても一生過ごすことは出来る。でも、読むと読まないとでは確実に人生の味が変わる本というものが、少数だけある。
『心地よく秘密めいたところ』は、多分そういう本のひとつだと思う。