メルニボネの皇子―永遠の戦士エルリック〈1〉
マイクル ムアコック
早川書房
破滅的にして華麗。
おなじみの約束事やアイテムをきっちり押さえつつここまで予測のつかない物語を紡いだムアコックは、やっぱりすごかった思う。今となってのは古典中の古典だが、ではこのシリーズを超えるものがその後いくつ書かれたかといえば、少なくとも私自身は、即答出来ない。
意志を持つ邪悪な剣という定番中の定番アイテムでありながらそれが陳腐に落ちず、主人公エルリックと共に善悪の境目を軽いめまいのように絶えず行き来するこの物語世界を初めて読む人は幸せ。
読み進めていけばやがて分かるように、非常にたくさんの関連するシリーズもあるので、当分楽しめもする。
…それにしても、新版になってずいぶん高い本になったなぁ…。
