30年間なんてたいしたことじゃない

投稿者: | 2008年1月7日

身内にさえもごく冗談めかして一二度予告しただけという程度だったから、誰一人本気にしていなかっただろうと思うが、年が変わると同時に、本当にたばこをやめた。
あと2ヶ月で50歳になるので、逆算してみたら30年間も続けてきた習慣をあっさり捨てたことになる(まあ、30年だということにしておこう、公式にはね)。
そう考えると、何十年の経験だとか、この道一筋何十年だとか、たいしたことじゃないなぁ。
重要なのは長さじゃないという正論はみんなも分かってはいるけれど、一応「敬意を払う」お約束になっているわけだけどね。

まあ私は30年間毎日ひたすら煙と灰を作ってきただけで、このことでは文字通り何一つ生み出さなかった。何か有益なことを身につけたわけでもなかった。だからこれは経験ではなく、単なる習慣だった。その通り。
それにしても、やはり30年間も続いてきた習慣が実にあっさり失えるものだという事実には、なにかしらこっけいな虚しさがある。
もうちょっと禁断症状に苦しんだりすれば何か意義ある闘いをやったという幻想をもてたかもしれないが、そういうものも無かった。

べつに大げさにするつもりもないが、思わずこの30年間を振り返り、煙と灰を作り続けてきたように、自分がやってきたこともたいしたことでもなかったなと思った。
社会に出てからのほとんどの期間を総括する感想としてはいくらなんでもという気もするが、実際、そう思った。

とても否定的あるいは後ろ向きと思う人もあるかもしれないが、私にとっては、そうでもない。もしも自分が「この30年間自分はささやかながらも世間に貢献した」とか「あれやこれやは誇りの持てる実績だ」とか言い始めたら、多分すごく気持ちが悪いだろうと思う。
たいした人生じゃなかったと言える方が、いくらかはましだ。