『勇猛なるジャレグ』スティーヴン・ブルースト:私的な古本屋さん

投稿者: | 2011年3月20日
勇猛なるジャレグ―暗殺者ヴラド・タルトシュ (ハヤカワ文庫FT) 勇猛なるジャレグ―暗殺者ヴラド・タルトシュ (ハヤカワ文庫FT)
スティーヴン ブルースト,Steven Brust,金子 司 早川書房
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この暗殺者ヴラド・タルトシュというシリーズはかなり面白いと思うんだけど、なぜ続刊が翻訳されないまま古書以外の入手手段が無くなってしまったのかねぇ。残念だ。
不評と言われている三巻目『虐げられしテクラ』さえ、私には面白かった。ただの夫婦げんかでつまらないとか(『虐げられしテクラ』は)言われちゃったりしているが、私は他人ごとには思えなかったがなぁ。

帝都アドリランカの一角を取りしきるヴラド・タルトシュ。彼はジャレグという小さな竜に似た生き物を使い魔とし、全身に武 器をまとい、剣の腕ばかりか妖術にもすぐれた暗殺者としても知られていた。そんな彼のもとに、ドラゲイラ族ジャレグ家の権力者デーモンから、盗みをはたら いたメラーという男の暗殺を依頼される。だが簡単な「殺し」と思えたこの仕事の裏には、帝国を根幹から揺るがす怖るべき陰謀が隠されていた。

ちょいとユーモラスで、けっこういいやつで、やたらとコロコロ人が死にまくるけれど実は頭の中で事件を何度もひねくり回して本質と対策を探り出すアームチェア・ディテクティブ的な話であるという、なかなかひねりの利いた話だ。
それでいてファンタジーとしての異世界設定がおろそかになっているわけでもない。もちろん『指輪物語』のような人生がひっくり返るような力を持ったファンタジーでは当然無く、単に興味深い「騙り」の工夫という範囲ではあるけれど細かいところまで無理なく描きこまれている。
というわけで、ちょっと毛色が変わったファンタジーとして楽しめるこのシリーズが、いつか続編も翻訳されることを祈る。
勇猛なるジャレグ
策謀のイェンディ
虐げられしテクラ