先日、思わず以下のようなツイートをした。
書店員の本気 ジュンク堂新宿店リバイバル http://t.co/aRq1DvOA これなぁ…みんなわりと肯定的に紹介してるんだけど、あえて言っておくけど、これ違うよ。店頭で創りあげて展示するフェアとネット上のフェアは違う。そのつもりで作り直さないなら単なる手抜き。
— 石塚昭生 (@ELIZA_akio) April 10, 2012
これだけだとなんだかいじわるな全否定しているみたいにしか聞こえないのでちょっと補足しておく。
店頭のフェアをネットを使ってより広く知らせることには反対しない。
反対しないどころか、大いにやるべきだと思っている。
けれども、店頭のフェアでは展示の仕方や物質的な量感や本そのものの質感が自然とそのフェア体験を助ける面もあって、単純にフェアに取り上げた「情報」を掲載すれば、店頭を訪れてフェアに触れた人の体験が再現できるわけではない。大抵の場合、店頭を訪れてフェアに触れた人と比べて、非常に貧しい体験になると言ってしまってもかまないだろう。
かならずしも店頭フェアの体験を「再現」することを目標にする必要はない。そもそも環境や利用できる対象が全く違うのだから、再現という方向性だけで考えると電子書籍に何が何でもページめくりエフェクトを持ち込もうとした初期の勘違いのように実におかしなことになってしまう。
しかし少なくとも、同じくらい豊かな体験であるようには努力すべきだ。
ネット上でどのように本を人々に「体験」させるかという点に関して、書店関係者は今のところほとんど成功していない。ひょっとすると(意地悪な誤解かも知れないが)そういうことを真剣に考えるのも好むと好まざるとにかかわらず、今の時代の書店員が真剣に取り組むべき仕事のひとつだということにはっきりと気づいていない人々もたくさんいるのではないか、と心配している。
私が思わずツイートで「作りなおせ」と言っているのはそういう意味だ。